これからずっと、あなたのそばで。
ぎんいろひまわり
青いスーツに付けられた金色のバッジにつつ、と指を這わせる。
まだ真新しいそれは、きらりと光を受けて輝いた。
「…みつるぎ?」
なに?と、戸惑ったような成歩堂の声に、御剣はくすりと笑う。
「私はこれを―――銀色が普通だと思っていたのだよ」
え?と成歩堂が首を傾げながら御剣を見るが、御剣はまだバッジを弄んでいる。
「父のバッジは、銀色だった」
「…銀?」
「ああ。それに法廷は父が出廷しているものしか見たことがなかったから―――」
「ちょ、ちょっと待って、何で…」
「…何だ、知らんのか成歩堂」
御剣は意地の悪そうな笑みを浮かべ、つん、とバッジをつついた。
「それは、金メッキなのだぞ」
「…ええええ!」
「というか当たり前だろう、金で出来ているわけもない」
「そ、そりゃそうだけどさ…キャラ的に驚いとかないと」
「…何を言っている?」
「いや、ほら、うん、…なんでもない」
変なことを言う、と言いながら御剣はすたすたと成歩堂から離れ、掛けてあるコートを手にとる。
一瞬遅れて、成歩堂も御剣に慌ててついていく。
「父に言ったことがある。僕もはやくそれをつけてみたいです、とな」
「銀の…弁護士バッジを?」
「ああ。父はこう言った。それにはとても時間がかかるだろう―――」
懐かしむように、目を細める。
「―――父さんも随分かかったんだ―――」
「え…と」
「見たことがないのか。ベテランの弁護士のバッジは皆、ほとんど銀だ」
「ええ?」
成歩堂は目を見開いた。
御剣は眉を顰めて、低い声を響かせる。
「…まさかとは思うが…貴様…」
「し、知ってた知ってた!知ってたよ!うん!」
ぶんぶんと首を振る成歩堂。
御剣はしょうがないな、と言う風に笑みを零した。
「時と共に―――メッキが剥がれてゆくのだ」
「…へ…え」
「下地の銀が見えていく。まあ、中には新しく発行して――金バッジのままのベテランもいるが、な」
そこまで言って御剣は、成歩堂を正面から見据えた。
「銀になったキミのバッジ―――早く見たいものだな」
―――大体十年ほどで銀になっていくらしいぞ。
そう付け加え、すたすたと成歩堂法律事務所をあとにする。
成歩堂は口をあんぐり開けて立ち尽くしていた。
―――それって、それって、つまり。
「み、みつ、御剣!!」
慌てて追いかける成歩堂は、こっそりと笑っている御剣に気付かなかった。
終
まだ逆裁4やってないころに書いた。切ない。
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