君の泣き顔が好きなんだ。
tears -H-
…あれ、俺は、何で、走ってるんだ。
なんであいつ、あんなに、早いんだ。
ひゅうひゅうと喉が鳴る。
足がもつれる。
肺が潰れそうだ。
目の前が霞む。
「…ち、くしょ…」
土方は立ち止まって壁にもたれ、荒い息のまま消えた後ろ姿を睨んだ。
(待っててほしいの?)
あの嫌な笑い顔が張りついていて、この上なく気分が悪い。
(待っててあげようか)
その言い方に腹が立つ。
(…あっそ。いいんだ)
何で、わざわざ待っててもらわなきゃならないんだよ。
(じゃあ、待たないよ)
待ってほしいなんて、…思ってない。
「…っげほ、っ、はぁ、」
喉が張りついて痛い。
目の奥がずきずき痛む。
もう嫌だ、もうやめてやる。
噎せすぎて涙が出てきた。
…そういうことにしておいた。
痛いなあ。
さっきから。
目の前の生徒はぼろぼろ泣きながらどかどか俺の胸を殴り付けてくる。
結構な力で。
結構な痛さ。
でも俺は止めないので、生徒も殴るのをやめない。
でもせめて泣くのはやめてほしかった。
「…怒っていいから、泣かないでよ」
「泣いてない!」
それはちょっと無理があるけど、反論はしない。
生徒はまだ殴り続ける。
「…抱き締めていい?」
「触ったら殺す!」
どうにもできないらしい。
諦めて、生徒の気が済むのを待つことにする。
「…はは、泣いてる」
「…」
「何泣いてんの」
「…」
「悲しいんだ?」
「…」
「淋しいんだ?」
「…」
「悔しいんだ?」
「…」
「…ははは、全然泣き止まねェのな」
「…」
「なあ」
「…」
「遅いよ」
「…」
「もっと早くそうやって素直になればよかったのにさ」
「…」
「…俺、…死んじゃったじゃん」
「…馬鹿、野郎…」
終
別に追いかける必要はないのに追いかけちゃうんだけど、
待ってくれないから絶対に追い付けないのがいい。そんで泣く。
そしてせんせいはダメ大人。
ついでに死にネタ失礼しました
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