何が許さないのだろう。
旧情愁意
何も必要ない。
ただ、この人についていこうと、そう決めた。
他の誰でもない、
ただ一人だけに。
だから、駄目だ。
寝不足、頭痛に胃痛、腰の鈍痛。
最悪のコンディションの中、それでも土方は机に向かって書類と格闘していた。
「あの…副長?」
少し充血している目の下にある隈や、今にも倒れそうなほどの顔色を見て、山崎は心配そうに問うた。
「…何だ」
しかし、その心境を知ってか知らずか、土方はこの上なく不機嫌そうに返した。
「あ、す、すいません。…あの、体調が良くなさそうだったので」
山崎はすぐに身を引く。
それがどうにも気に入らなくて、少し苛立ちながら煙草に火をつける。
「…問題ねェ。さっさと次、出せ」
煙を吸い込んだら、噎せそうになって腹が立った。
―――疲れたいのだ。
疲れて泥のように眠りたい。
夢も見ないほど、深く深く。
山崎はまだ何か言いたそうな顔をしていたが、書類を渡して部屋を出た。
―――そう、これでいい。
この体は真選組のためにある。
だから。
駄目、なのだ。
―――何か俺、お前が好きみたいなんだけどさぁ。
―――お前は?
ああ、思い出すな。
ペンを持ち、ぶつりと思考を遮断する。
さらさらと紙の音だけが部屋に響いていた。
―――大丈夫だ、みんな。
俺たちはきっと刀を取り戻せる。
俺がなんとかする。
ホラ、立てよ。
しゃんと立ってれば、
結構なんとかなるもんだぞ。
そう言って近藤さんは、
豪快に笑ったのだった。
だから、幕府の狗に成り下がろうとも、俺たちは刀を持った。
もう失うことのないように。
その恩に報いるために。
ああ、だから、
だから、
―――何も考えたくない。
気付くな。
想うな。
駄目だ。
想っていると、気付いてしまえば、
駄目だ。そんなことは、許されないのだから。
ふ、と紫煙が舞う。
一体、
何が、
何を、
許さないのか。
土方は目を閉じた。
終
もっとぐるぐるした感じが書きたかった
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